序盤・中盤・終盤、いずれにも必要になってくる力、それは「先を読む力」である。
様々な分岐を考え、それぞれについて数手先を頭の中でシュミレーションし、自分が優勢になる道を探す。
この「先を読む力」を鍛えるためには「詰将棋を解く」のが最も有効な方法の一つだ。
(ちなみに他には実戦で鍛える、次の一手で鍛える等の方法がある。)
そこで今回は、おすすめの詰将棋の本を紹介していきたいと思う。
⇒「【将棋上達方法】三段まで棋力を上げる方法~棋譜はただ並べても効果は無い~」
詰将棋の本を選ぶポイント
大体どんな詰将棋の本でも「先を読む力」は付くが、より実践的な盤面の詰将棋をおすすめする。
例えば「桂馬・香車やその他の歩が通常の場所にいる」ような形だ。
こんな形↓↓
このほうが、実際に対局に出てくることもあるからやる気もでる。
たまに向こうの王様が敵陣(つまりこちら側)に入玉した形の詰将棋なんかもあるが、はっきり言ってやるだけ無駄だと思っている。確かに読む力は鍛えられるが、あえて入玉形にする意味がわからない。
また手数についてだが、3手詰め・5手詰め・7手詰めがちょうど良い。
棋力にもよるのだが、適度に頭を使い、そしてなるべく数をこなせるようにするためだ。
※ちなみに棋力は4級~3段くらいまでの人を想定している。
詰将棋は解けるまで答えを見てはいけないか
よく「詰将棋は諦めてはいかん!」と教えているおじーさんをたまに見るが、それは違う。
頭を使って先を読むことが重要なので、ある程度考えてわからなかったら諦めて答えを見ても良い。
「あ~こう指せば良かったのか!」と納得できれば、また一歩上達だ。
また「5分以内に解けなかったら答えを見て次の問題へ」みたいな感じに自分ルールを決めて解いていこう。
悩んで悩んで30分かけて1問を解くより、1問あたり3分で10問解いたほうが断然良い。
たくさん解いて色んな詰み形を頭にインプットしていくほうが重要だ。
先を読む力以外につく力
詰将棋を解く事によって「先を読む力」が付くのと同時に、「センスが良い手」・「筋の良い手」が自然と指せるようになる。これがとても不思議で、終盤戦だけじゃなくて、序盤や中盤でもオシャレな手や好手がどんどんひらめく様になる。
実際に詰将棋を解きまくれば、すぐに実感できるだろう。
あと、盤全体を見渡す力も付く。全体を見渡す事で、無駄な駒を有効に使ったりして、好手が出やすくなる。また形勢判断もより正確にできるようになるだろう。(いわゆる大局観というやつ。)
詰将棋を解く量
詰将棋を解きまくれと言われても、一体どの程度解けばいいのかわからないと思う。
たくさん解くに越した事はないが、一日20~50問くらい解くのを日課にすれば1ヶ月もしたら対局に成果が出始める。
普段なかなか将棋をやる時間がとれないという人は通勤の電車の中で解いたりもできるから、詰将棋はホントお手軽な将棋上達法だ。
(簡単に持ち歩けるようにコンパクトな詰将棋の本は多い。)
おすすめの詰将棋の本
前フリが長くなったが、さっそく紹介していく。
3手詰ハンドブック
浦野真彦著の3手詰ハンドブック。
3手詰めだといってあなどってはいけない。
俺(アマチュア二・三段)もたまに解けない問題がある。
3手詰なので比較的速く解く事ができるかもしれないが、できれば全てのパターン(詰まない手順)を読みきってから答え合わせをしてみてほしい。
たまたま詰みの手順がひらめいた!だけで終わると読む力が付きづらいからだ。
詰みまでの道筋を明確にしよう。
3手詰と一緒に「5手詰ハンドブック」も挑戦してみよう。
詰将棋ドリル3 3手詰初級編
10級から1級まで棋力ごとに詰将棋が用意されているので、いきなり難しい問題が出てくる、といったことがなく、徐々に力をつけることが出来るのが特徴。
3手詰みはパズルのように楽しむ一面もあるので、あまり頭を抱えない程度で適度な頭の運動としても使えるのが良い。
(老化防止におじーちゃんにプレゼントしたって言う人もいるくらいだ。)
3・5・7手実戦型詰将棋-基本手筋をマスターし、級から段へ
3・5・7手実戦型詰将棋-基本手筋をマスターし、級から段へ (池田書店 将棋シリーズ)
級から段にレベルアップ!というのがテーマの詰将棋本。
桂馬、香車が配置された、まさに「実践的」な詰将棋だ。
詰将棋を解けた時間に合わせて大体の棋力がわかるようになっている。←個人的にはこれがやる気出る
ひとまわり目にチェックしておけば、ふたまわり目に入った時に上達が実感しやすいようんなっている。
3手詰め60問、5手詰め60問、7手詰め40問、計160問。
答えのページには問題図、途中図、詰め上がり図等があるため、非常に見やすいのも特徴だ。
新5手7手詰めパラダイス
詰将棋パラダイスといって結構有名な詰将棋シリーズ。
5手詰め7手詰めに特化していて、3手詰め15問、5手詰めを84問、7手詰を85問、計184問を収録。
特殊な形や難易度が高めの問題が多くあることが特徴。
解けない問題もあるかもしれないが、先を読む力がつくのは間違いないだろう。
5手詰将棋:テーマは「実戦! 」
5手詰将棋:テーマは「実戦! 」 (将棋パワーアップシリーズ)
タイトルの通り、「実戦」を意識している本。
終盤戦の囲いが少し崩れたような形が良く出てきて、実践的で楽しみながら解く事ができる。
終盤力をつけるのに最適だし、大会にでる直前に解くのもいいだろう。
ぽんぽんとテンポよく解けるのでモチベーションは保ちながら楽しみながら詰将棋できる本だ。
「7手詰将棋:実戦の勝率が上がる202問」もあるので、5手詰みをやりこんだあとに見てみよう。
7手詰将棋:実戦の勝率が上がる202問 (将棋パワーアップシリーズ)
羽生流で上達! 新しい詰将棋初段150題
羽生さんの詰将棋の本は実践的な形が多い印象だ。
初段へ150問、ということだが、2級~2段くらいまでにちょうど良いと思う。
次の一手も20問掲載されているので、「詰将棋に飽きたら次の一手をやって休憩」みたいなこともできて中々楽しめる。
羽生義治氏の本って、なんか安心感がある。
こども用(将棋を始めたばかりの初心者用)として「羽生善治のこども詰め将棋入門」もおすすめだ。
3手5手詰パラダイス 詰みの力を倍増させる200題
3手5手詰パラダイス 詰みの力を倍増させる200題 (マイナビ将棋文庫)
「詰み将棋パラダイス」は難解な問題が多いイメージがあるが、詰みパラにしたら優しめの問題が多い。(といっても級位者にはきついかも)
実戦に出てきそうな形が多いし(盤の右上ばかりだけど)、解説がとても丁寧で、詰将棋を解く上でのコツを教えてくれるが良い。
詰将棋の基本を教えてくれる本
詰将棋の基本(解き方)から学びたいという人に2冊紹介する。
1から始める詰将棋
将棋知識の基本から、それぞれの駒を使った詰みの形をまずはインプットしてから問題に突入する。
1手詰め80問、3手詰め120問、計200問。詰む形、詰まない形をゆっくりと学んでいける。
初心者から脱却したい人におすすめだ。(13級~4級くらいまでの人)
Kindle Unlimited(アマゾンの読み放題サービス)に登録すれば無料で見れるので読み放題で見るのもおすすめ。他にもタダで見れる将棋の本あるし。
1冊で詰みの基本が身につく 3・5・7手詰
1冊で詰みの基本が身につく 3・5・7手詰 (将棋連盟文庫)
問題数が432問と、むちゃくちゃ多いのでコスパは高い。
基本的な詰み形は学ぶ事ができるが、実践的な配置じゃない問題もあるので、一部少しパズルのような要素も含んでいるように感じた。まあそういった実戦から外れたような形は「先を読む力を鍛えよう」という気持ちで取り組めばよい。
基本的には適度な難しさの良い問題が多く感じた。
1ページあたり2問記載されているため、1問解いて次のページに答え合わせに行くともう一問の答えが見えてしまう、のがマイナス点として挙げておく。
厳密に言えば、見ないようにすれば見ないで済むのだが、イチイチそんなこと気にするのはめんどくさい。
最後に
詰将棋を解いてみることを継続できたら、ぜひ実戦にトライしてみてほしい。
すぐに成果は出ないかもしれないが、毎日コツコツ詰将棋を解き続けた人は必ず力が付いた実感が湧くはずだ。
以前は思いもつかなかった手が指せる様になったり、盤面の展開を即座に読めるようになったりする。
自分なりの勉強法も確立したりして、将棋の魅力にどんどん引き込まれていくことは間違いない。
今日はそんな感じ。
そいじゃ。
⇒「【おすすめ将棋盤(駒)】将棋初心者のための将棋セット」
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